子を愛し 厳しかった躾(しつけ)
大学受験に失敗し、浪人生活を東京で送っていた時のことだ。毎日とはいかないまでも、三日に一度は必ず郷里から手紙がきた。私の身体のことを心配し、辛い勉強だけの日々をいたわり励ましてくれる、温かい母からの手紙だった。
母は明治の生まれである。いわゆる「良妻賢母」の典型のような人だった。亭主関白の父に愚痴(ぐち)も言わず仕え、決して経済的に豊かではなかった生活の中で、子供たちの教育には熱心。また、躾(しつけ)に厳しく人前で甘えさせてくれることはなかった。しかし、子供たちのことを誰よりも愛してくれる人でもあった。
母は私の初当選直前に亡くなった。私が代議士になって社会のために働くことを自分の夢としていた母。月のように静かに美しく見守り続けてくれた母の存命中に、晴れ姿を見せてやれなかったことが残念で仕方がない。これからも、母の遺志に恥じない政治家でありたいと思う。