文科省の新教育プラン
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奉仕・体験活動で心豊かに

 学校の外へ出て、高齢者施設で介護を体験したり、農村で田植えを実際にやってみたりする、児童・生徒の奉仕・体験活動が注目されています。総理の私的諮問機関である「教育改革国民会議」の提案を受けて、文部科学省も新しい教育プランに、「多様な奉仕・体験活動で心豊かな日本人を育む」ことを盛り込みました。そうした奉仕・体験活動はすでに行っている学校も多く、さまざまな成果をあげており、一層盛んになりそうです。

各地で予想以上の結果

「21世紀教育新生プラン」で奉仕活動を推進
 「教育改革国民会議」は、いじめや校内暴力、不登校、学級崩壊、凶悪な少年犯罪の多発といった教育の荒廃が問題になったことから、教育のあり方全般について論議され、昨年末に最終報告をまとめました。その中の一つが「奉仕活動の必要性」で、「小・中学校で二週間、高校で一か月間の奉仕活動を全員が行う」ことが求められたほか、「十八歳以上の青年の一定期間の奉仕活動」も検討されることになりました。

 これを受けて文部科学省では今年一月にまとめた「21世紀教育新生プラン」にその具体的な政策を盛り込みました。
 まず、「小中高の学校は奉仕活動、自然体験活動などの充実に努めることとする」と学校教育法の一部を改正する法案を国会に提出。また、百億円を出資して「子ども夢基金」を創設し、体験活動を行う青少年団体を支援・助成することにしました。
 奉仕活動の具体的な内容や実施方法は各学校が工夫して行うわけですが、文部科学省が検討している内容は表の通り。今後、これ以外にも様々なアイデアで出てきそうです。

大人と子供のきずな強まる

地域で福祉や環境などさまざまな体験学習
 “奉仕活動は自主的にやるのはいいが、強制的にやらせるのは良くない”という意見もありますが、すでに多くの学校で自主的に行われており、予想以上の教育効果をあげています。
 兵庫県では、阪神大震災や神戸市の児童連続殺傷事件を機に、「トライやる・ウィーク」という地域体験学習を平成十年から始めています。
 中学二年生の全員が、地域の農業や漁業、製造・販売業などの仕事を一週間体験するもので、大人と同じ様に遅刻や仕事を怠けることはできない厳しいものです。
 その結果、ある中学校では遅刻者がゼロになったり、不登校だった生徒がその体験を通して心を通わせるようになったという成果があがっています。
 また、静岡県田方郡函南町では、「いつでも、どこでも、だれとでも」をキャッチフレーズに、子供と大人の心通う地域社会づくりを進めています。小学校では「地域に花を植えよう」や「福祉体験」を。また中学校では「地域で行う勤労体験」などを実施。「教育改革国民会議」が提唱する奉仕活動に近い内容となっています。二校からスタートして、昨年度からは町内の全小中学校七校に拡大。特に成果があったのは「あいさつ運動」で昨年十一月には町内の百二十か所にのぼり旗を立てて、子供たちが行き交う人に「おはようございます」。住民も笑顔でそれに応えて、地域の大人と子供のきずながより強まることになりました。
 富山県では、「社会に学ぶ『十四歳』の挑戦」という体験学習を一昨年から始めています。病院実習に行ったある中学生は「高齢者をお世話することの大変さを実感しました」と話していました。
 東京都町田市の都立成瀬高校では年一回、文化系クラスが老人ホームを訪問、踊りや歌を披露していて、自主参加ですが、約一割の生徒が参加しています。
 また、就労体験を行っている千葉県の中学校では、就労によって挨拶の仕方や人の話を聞く姿勢を一から教えられ、それが授業態度にも反映しているそうです。
特に「他を思いやる心の育成」に成果
 こうした福祉や環境などの奉仕・体験学習は全国の多くの学校で増えつつあります。全日教連の調査では、現在の教育課程の中で奉仕活動をしている学校は六十四・一%で、三校に一校が何らかの形で奉仕活動を行っていて、とくに「他を思いやる心の育成」「社会の一員としての自覚」に大きな成果があることや、大勢の人の幸福を願う「公的な視野が広がる」「自発的なボランティア活動への意欲につながる」ことも分かりました。

会社や農業体験も

修学旅行も「観光型」から「参加型」へ
 明治初期に始まった修学旅行は、時代の変化とともにその内容も変化してきました。大きく分けると旅行自体が少なかった戦前は、児童・生徒に見聞を広めさせ、心身を鍛練する性格が強かったのですが、高度経済成長以降は、家庭での旅行が一般的になって、修学旅行の意義や行き先は多様化しました。
 最近の修学旅行先のベスト五は、京都、北海道、奈良、沖縄、長崎ですが、九位は海外で、京都や奈良、東京は“地盤低下”の傾向にあります。
 それよりも注目されるのは、旅行の目的が以前の「名所・旧跡巡り」から「自分が取り組む」内容に変わってきていることでしょう。

班ごとに行動。体験して考える機会に
 広島県立福山誠之館高校の二年生は、昨年の四泊五日の修学旅行で、東京にあるマスコミや一般企業、大学を十人前後の班に分かれて訪問しました。大手出版社の編集部を訪問した生徒は、電話に即座に対応し、きびきびと動き回る若い社員の仕事ぶりを目の当たりにして「仕事への責任感の重みを感じました」。
 昭和五十二年と五十三年の学習指導要領改定で、修学旅行にこうした名所・旧跡巡り以外の目的を設ける学校が増えてきています。
 また、都会の子供を地方に呼んで、田舎の生活を体験させる修学旅行も増えています。山形県には年間約二万人の児童・生徒が修学旅行に訪れ、羽黒町や川西町での農村体験、林業体験などを楽しんでいます。慣れない作業もありますが、何よりも豊かな自然や素朴な人情に触れて、不登校がちだった子供が立ち直ったというケースも。山形県では、教科書では知ることのできない農村体験を通じて都会の子供たちに“もう一つの日本”を知ってもらういい機会」として、今年度から、首都圏の学校を中心に積極的に修学旅行の売り込みを展開しています。

百億円で「子ども夢基金」を創設

社会奉仕体験活動の具体的事例(表)

○リサイクル活動
 ・アルミ缶やペットボトルの回収
 ・使用済みテレホンカードの回収
○清掃作業
 ・海岸の清掃活動
 ・駅周辺清掃活動
○環境美化活動
 ・公園、公共施設や国道等に花の苗などを植える
○老人ホーム等での活動
 ・地域の老人会との交流
 ・老人福祉施設での窓拭きなどの清掃活動や、食事の後かたづけなどの施設内の仕事を実施
○看護・介護活動
 ・ホームヘルパーと同行して、独居老人の買い物の介助などを実施
 ・心身障害者施設での介護体験や障害者とのふれあい交流を実施
○募金活動
 ・赤い羽、緑の羽、青い羽、歳末助け合い、ユニセフ等への募金
○その他
 ・町内会等でのチャリティーバザー
 ・国際援助物資の収集活動、送付
※それ以外の体験活動について
 ・自然体験活動
 :野遊びや野外炊飯などの活動を行ったり、冬季に雪原の中で野宿しながら天体観測などを体験する
 ・勤労生産体験活動
 :農林水産業等の勤労や生産を体験する
 ・職業体験活動
 :商店や企業等での実際の職業を体験する
 ・芸術文化体験活動
 :演劇や外国の民俗芸能等を体験する

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