対談シリーズ Face to Face
 衆議院議員 野田聖子×女優 斉藤慶子

 ともに九州出身で、一歳違いの斉藤慶子さんと野田聖子議員。
 斉藤さんは昨年女児を出産、一方、良き伴侶を得て、幸せいっぱいの野田議員。

 そんなお二人に、母になること、妻になることをほのぼのと語ってもらった。

自分の生きた証を子供に伝えたい

 今しかできないこと をやりたい(斉藤)

野田 斉藤さん、お子さんが一歳を迎えられたそうですね。
斉藤 はい、可愛いですよ。出産後は毎日が発見で、すごく楽しい。
野田 いいな。わたしも近々結婚するんです。
斉藤 おめでとうございます。
野田 ありがとう。私、ずっと結婚したかったんです(笑)。ようやく決断しました。決断のきっかけはやはり出産時期なんです。今後の参考のためにいろいろ聞かせてね。
斉藤 四十歳前後の女性の場合、まず赤ちゃんができるかなというところから始まるんです。
野田 そうね。斉藤さんは結婚されて、すぐに子供が欲しかったですか?
斉藤 主人はあまりそうでもなかったので、いいや、もうちょっと、と思っているうちに三十八歳近くになり、やはりいけない、いけないと思いましたね(笑)。私の場合三十代後半から、すべてが無限じゃないという気がしてきたん
です。体力も、可能性も、自分の人生についても。そう思ったときに、今しかできないことは絶対に出産だと。
野田 私は去年四十歳になったとき、もう結婚は無理かなという思いがあって、老後をきちんと一人だけで生きていけるようにと、お金を借りてマンションを買ったんです。そのとき、やはり子供は欲しいなと思ったのね。結婚は五十歳だって、六十歳だってできるんだけれども、出産だけは待ってくれない...
斉藤 そうなんです。
野田 賞味期限みたいなところがあるから(笑)。当選早々の頃は、ともかく走り回るのに精いっぱいで、自分を振り返るということがなかなかできなかったけど、だいぶ落ち着いてくると、自分が感動したこと、喜び、つらさといったことを、誰かに伝えたいという欲が出てきたの。で、それはいったい誰なのかというと、やはり自分の血を分けた子供なのかなと。
斉藤 私も自分の生きた証というか、そういうものを子供に残したいなと思いましたね。
野田 同じだ(笑)。

 羨ましい、アメリカのベビーシッター社会(斉藤)

野田 妊娠中のことを聞かせてください。
斉藤 ドラマの撮影では走るとか、体を動かすシーンが多かったので、かなりつらかったですね。四ヶ月目にはいると、体調も安定してきて、つわりも終わり、すごく爽快になるんですが、五ヶ月目くらいで今度は希望者は羊水検査というのを受けるんです。これは、胎児の状態を診る検査です。五ヶ月目くらいって、お腹の中で赤ちゃんが動いたり、これは足、これは頭とか、少しずつわかってくるので羊水検査をして、産む、産まないを決めるということが、私としてはすごくつらかった。
野田 そうでしょうね。
斉藤 主人は、そういう検査があるんだったら受ければと言うんですが、私にとってはそういう問題じゃないんだよな、というところで悩んだわけです。結局検査は受けませんでした。男の人は赤ちゃんが生まれてきて初めて実感をもつ。女の人は妊娠したときから母親なんです。女の人と男の人ではスタートラインが一年違うんですね。
野田 なるほど。
斉藤 でも、お腹をポンと突き出して、マタニティウエアを着て歩くのが、私の夢だったので、散歩や買い物には結構行きましたよ。お腹の赤ちゃんに、ほら鳥がいるよ、犬が歩いているよとか、しゃべりかけながら歩くの。
野田 いいな、いいな。私も早く赤ちゃんが欲しい(笑)。
斉藤 がんばってくださいね、先輩。
野田 ありがとう。で、出産後はどうだった?
斉藤 二十日後には仕事に出ました。
野田 同僚の橋本聖子(参院議員)さんが出産されたとき、彼女、出産から十日過ぎで仕事に出てしまったんです。私は、とことん休んでください。あなたが頑張ってしまうと、私が困るって言ったんです。私はもっと休みたいから、そういう前例、スピード記録を作られてしまうと、いざ私の出産のときに、野田聖子は怠け者とか言われるからって(笑)。彼女は、国会議員としての責任感が強いんです。斉藤さんは、仕事と家庭を両立されてこられて、どうですか。
斉藤 ベビーシッターの問題が大変ですね。
野田 斉藤さんは、毎日面倒を見てもらっているの?
斉藤 私は週に半分くらい。
野田 私は高校時代、アメリカに留学していたんですが、アメリカの女子高校生のアルバイトは、ベビーシッターなんです。私もベビーシッターをやりました。アメリカのベビーシッター社会というのは非常に気楽で、隣のマンションに住んでいる高校生に、ちょっと二時間ほど見てもらう、顔見知りに頼むというネット
ワークがあるんです。
斉藤 羨ましい。東京だと隣近所でも、ベビーシッターを頼めるほどの顔見知りなんていませんもの。


 婚約して集中力が増した

野田 お子さんが生まれてから、ご主人はいかがですか。
斉藤 予想をはるかに上回るほどの子煩悩ぶり。会話も増えました。
野田 いいですね。
斉藤 だって何年もずっと一緒にいると、喋ることってあまりないんです。そこに、子供という新たな存在がポンと出現したことにより、子供を通しての主人、子供を通しての私という、新たなフィルターを通すことで、お互いがまた違って見えるんです。あら、こういうところがあったんだな、みたいな。
野田 私の婚約者は、子供が生まれちゃったら、二人だけの時とは関係が変わってしまうのではないかと言っています。どうでしょうか。
斉藤 それはむしろ、私のほうが感じている。主人は私を見ないで、もう子供ばっかり。
野田 そうか、夫のほうがそうなっちゃうかもね。困ったな(笑)。
斉藤 十年前に知り合ったころに、私に話していた優しい言葉とか、私に向けていた熱い視線を、娘にしている。
野田 そういえば、こういう時期があったよな、みたいな(笑)。

 女が残業しなくても出世できる社会をつくる(野田)


野田 斉藤さんも、私も、普通のOLと違って、自分で仕事を決めていきますよね。だからオーバーキャパというか、自分の限界以上の仕事にチャレンジする。
でも、そういうことをやってしまうと、自分の時間をまったくなくしてしまう。
そこにどうやって、妊娠、出産、育児を入れようかと。それが私の大きな悩み。

斉藤 それは大変ですね。
野田 そんな中で私が思ったのは、働く女性が、残業をしなくても出世できるような社会を作ろうということ。そうでないと、働く女性はいつまでたっても現在の社会において、出産というマイナスの作業を背負い続けなければならない。
斉藤 それに、出産で休みを取ることで、職場に戻ってきたときに自分のポジションがあるのだろうかということもすごく不安なんではないでしょうか。
野田 そうなんですよね。
斉藤 それに、女性としてのピークの時期と、出産の時期とが重なることがあるのではないですか。私は二十年も仕事をやってきて、ある程度落ち着いたところでの出産だったから、よかったけれど。
野田 今、私がそういうときみたい。これまでも結婚したいな、子供を産みたいなというときがあったけれど、天秤にかけると仕事のほうが重かった。今もまだまだやることはあるんですが、そろそろいいかなって。
斉藤 私は、これまでは前ばかりを見ていたけれども、これからは、後ろを振り返れば、家庭があるし、子供もいるということで、何か余裕をもって仕事ができるという感じ。
野田 じつは私、婚約したとたん、すごく集中力が出てきた。だから、斉藤さんの気持ちわかるな。何か自分の中で抱えていたもやもやが片づくと、逆に、仕事に対してストンと集中できるというか。
斉藤 本当にそうですね。

 私たちの子供が日本を支える(野田)

斉藤 野田さん、私、子供と一緒に出かけるのが大好きなんです。でも、ベビーカーを押していると、もうちょっとどうにかならないかなという段差がすごく多い。
野田 あと、駅がイヤだとみんな言うんですね。駅が使いづらいから出かけるのが億劫になってしまうという人が多い。
斉藤 レストランなどでも赤ちゃんはだめというところが多い。もちろん、ファミレスは全然大丈夫だけれど、ちょっとおしゃれなレストランでも、ディナーとは言わないまでもランチくらいはいいんじゃないかと。
野田 先ほどベビーシッターの話をしましたが、働く女性にとっては、企業内保育ということも考えなければなりません。たとえば、会社の中にある育児施設に子供を預けておくことができれば、不意に熱が出たときや、体の調子が悪いというときに、お母さんがパッと見にくることができる。私たちは今、そういうことを実現しようとしているんですが、問題点があるんです。通勤が大変なの。
斉藤 ああ、そうか。
野田 預ける施設ができたとしても、自宅から会社に来るまでのラッシュアワーをどうするか。ラッシュの時間帯に子供を連れているとイヤがられるんです。この子たちが将来、自分たちの年金を払ってくれる、老人医療の負担をしてくれるという意識が大人たちにはないから、子供は迷惑だとしか考えない。
斉藤 少し発想を変えればね。
野田 すでに痴漢防止のための女性専用車両ができ、これがなかなか評判がいいんだけれど、同じように通勤時間帯に、ママやパパや子供のための車両を作りたい。
斉藤 そうなれば、働く女性は助かりますね。また、幼児のいるお母さんたちも、気軽に外に出掛けられ、ストレス発散にもなる。すると、幼児虐待などの育児ノイローゼも減るかもしれません。
野田 インターネットの世界で、子育てのホームページがすごく人気があるそうです。若いお母さんが、ああ困った、どうしようというときに、そういう掲示板に悩みを訴えると、大勢のお母さんが、いろいろ体験を教えてくれる。
斉藤 それはすごくいい。
野田 今日は、子育てのお話を伺えて楽しかったわ。
斉藤 こちらこそ、ありがとうございました。



プロフィール
斉藤慶子さん(女優)
1961年、宮崎県生まれ。熊本大学在学中の82年に、JALの沖縄キャンペーンガールに選ばれ、芸能界入り。以来、映画、テレビ等で活躍。94年、『東雲楼 女の乱』で、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞する。97年に結婚し、昨年、女児を出産。著書に『産みたい』(新潮社刊)。趣味は、天体観測、ピアノ、フルート、クラリネット、スキューバダイビングと多彩。

野田聖子さん(衆議院議員)
1960年、福岡県生まれ。上智大学外国語学部卒業後、帝国ホテルに入社。26歳で岐阜県議に当選(全国最年少)。
32歳で衆院議員に初当選。37歳のとき、郵政大臣に就任(戦後、最年少の入閣)。現在、政務調査会副会長。女性に関する特別委員会委員長。今年6月、保守党の鶴保庸介参院議員と婚約。趣味は、読書、カラオケ、パソコンなど。


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